2005年12月07日

開公司(カイゴンスー)

ある日、友人の経営する会社を訪問するために
社員の一人に運転を頼んで出かけた。


頼んだ社員は

通称困った君

(ちなみに、今はもう全然困った君ではないのだが(笑)
便宜上こう書く)


彼はとても運転が上手で、安心して乗って
いられるので、時々お供を頼む。

さて、この日は、
出かけた時間が中途半端だったこともあり
途中でお昼ご飯を食べることになった。

彼は地元出身者なので、地理に詳しい。

そこで、美味しいお店を選んでくれた。

もちろん、私の口に合うことを考えて、だ。



席について料理が来るまでの間、二人で色々と
話す。

彼は英語が達者なので、中国語がへたくそな私は
実に助かる。

また結婚したばかり(医者の奥さん)なこともあり、
その辺を中心に話していく。


どうだい?新婚生活は?

(ぐふふ、、、)


ってな感じで。



彼は、何歳で家を買いたい、子供は早く欲しいなど
を夢一杯に語る。


若いっていいねえ〜(ババくさっ)






と、色々と話しているうちに、
ふと、彼が言う。


「30歳くらいで開公司したいけど

家買うのが先かな、、、」









開公司




とは要するに起業する、会社を興すことを指す。


中国人の人生目標のほとんどに、この開公司がある。


困った君以外の社員達も、実に屈託なく

開公司したい

と言う。








は〜、、やっぱりね、、、、








まあぶっちゃけ、一生懸命技術を教えている身と
しては複雑な気分になる。

過去ログにも書いたが、こっちじゃ教えて一人前
になった端から辞めて、独立したがる。

大抵がライバル会社設立となる。

教えても教えても、育った途端に辞められるので
ちっとも技術が会社に蓄積されない上に、すぐ
近くに同業の会社を作られて、そっくりそのまま
のものを安価でコピーする。

また営業に際しても、
こちらの手の内を知っていることもあり、実に
やりづらくなる。





あんたもやっぱりそうなんだ、、、






そこで、

「あのさ、聞いてみたかったんだけどさ。

なんで中国人はみんな開公司したいの?失敗するかも

知れないし、特別なことをしなきゃそうそう成功なんて

出来ないでしょ?会社でのし上がって出世することは

目的にはならないの?」



と聞いてみる。





と、彼は言う、


「日本はさ、人口が1億人くらいでしょ?(もうちょっと多いが)

中国はさ、その10倍以上いるんだよね。すると

チャンスってそうたくさんないの。それに日本と

比較して中国は貧しいし、教育や政治も悪い。

老後の保障も無いから、自分で稼ぐしかない。

そうすると、若い頃にどれだけお金を稼ぐか

が重要になる。それに親も抱えてる。だから中国人は

会社でもらえる給与以上を稼ぎたいし、そのためには

開公司しかないと思うんだ」





そうだよな、解るんだよな理屈は。



会社に勤めてても、中国一般社員は大した給与も
保障もない。

管理者が冷静に判断すると、日本人の給与の高さは
=忠誠心な部分がある。裏切らない、会社の為に尽くす、
そういう精神に給与を払う。

たとえ大した能力がない日本人であっても、その精神
を買われる面がある。

しかし、いつ裏切るか、いつ盗むか、いつ辞めるか、
解らない中国人、日本の一般社員と比較しても能力は
劣る中国人に日本人と同じ給与は払えない。

もちろん優秀な人間に支払う給与を惜しむつもりは
ないが、その一部の恵まれた人(教育レベルも高い)
ではなく、一般労働者となるとそうもいかない。




さらに言うならば、中国こそ

社員の給与のバランス


を慎重に考えなければならない面がある。


同じ仕事をしていても、個々人で能力差というのは
明らかにある。

特に上から見れば、その差は歴然。

ということで、一度現場ワーカー達の中の一人、
真面目で一生懸命働く子に、他の子の倍の給与を
与える案を私が挙げたことがあった。

他の社員の刺激になるだろう、ということと
目標を持ってもらいたい、という気持ちからだ。

ところが、この案は同僚を始め幹部社員たちに
強く反対された。


これは幹部社員内でも同じなようで、やはり
幹部社員の中のリーダーに対する処遇にも、
同じような反応する。


何故だ?能力がある(と上が判断した)者が
高い報酬を得るのは当たり前だろ?何がおかしい?



と私は主張するのだが、同僚などは

「その能力差を納得する連中じゃない。自分はもっと

優秀だと思っているんだから、やはり給与は揃えなければ

統率を取りづらいんだ」



ふむ、なるほど、、、、


日本だって、そういう状況だったら嫉妬が渦巻くけど
日本人の場合は「能力不足」の自分を責めて納得
するんだよね。

その辺、中国人は

「自分の能力を理解しない上が悪い」

ってなるところが、やっかいな訳で。



彼らに責任の重さの差はなかなか理解しがたい。

例えば単純労働の歩合制、営業の歩合制などに
よる差は理解しても、数字に見えない能力差による給与差は
受け入れがたい様子。



よって、私も納得して、各部署のリーダー、
単純労働者たちのリーダーには

ほんの少し高い給与
(その他と10%ほどの差)


という処置にしているわけだが、、、

(給与高くしてあげたくても出来ないジレンマね)











さて、困った君、私が少々考え込んでいたのを
見て励ましてくれる。










「会社を開いたら、一番にらんさんに知らせるから!」












うーん、、、、


それも微妙に違うような、、、、(苦笑)










ただね、こっちもビジネス

残念ながら、今のあんたじゃ開公司しても先は知れてるよ。

だって、肝心要のことは教えてないもん。

そういうもん。








ま、お互い様かな、この辺は(苦笑)。













したたかに行くよ、こっちだって(笑)
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posted by らん at 23:26| 香港 ????| Comment(24) | TrackBack(2) | 中国社会事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やった!一番乗り!!!
興奮してしまいました
でも納得の理由かな。中国人、凄いね。
Posted by なおたん at 2005年12月07日 23:38
「カイコンスー」の話、面白かったです。
私も自営業ですが、会社員がうらやましい時もあります。特にボーナスの時期(笑)
Posted by worldwalker at 2005年12月07日 23:43
私が中国で教えた現地社員(正確には取引先中国工場社員)2名は中国人らしくない働き者で責任感が強い人でした。
色々教えたのですが実践して最近出世したそうです。
適材適所におさめて仕事をさせればまじめに働く人もいるのではないでしょうか?
Posted by とんじい at 2005年12月07日 23:52
お久しぶりです。
読みました。

なるほど、納得のいく理由でした。
でも、同じことを考えてる人がたくさんいるようなので、彼の起こそうとしている会社は厳しいだろうなと、思いました。
ではでは。
Posted by アスピリン at 2005年12月07日 23:59
私も開公司=カイゴンスーをやってみたいけれども、リスクが嫌いなので出来ません。
ああああ、、、中国人は肝っ玉がちがうなぁ。
ギリシャの街中にそういえば中国人経営の衣料店にはデカデカと「公司」と書いてあします。
ああ、あのパワーには負けます。
Posted by madoka at 2005年12月08日 00:06
業種や職種にもよりますが、中国人のキャリア設計の基本はやっぱり「独立」ですね。

家族(宗族)主義の中国にあっては誰かが成功すれば一門皆金持ち的な発想がありますから、家族の支持も得やすいですし、また独立資金も集めやすいです。

早い話が「鶏口となるとも牛後となるなかれ」です。

良くも悪くもこれが中国、ということで。

この記事を中国BLOG記事アーカイブプロジェクトに推薦させていただきました。

http://www.chinawalkers.net/modules/weblog/details.php?blog_id=111
Posted by まかぼろ at 2005年12月08日 00:53
>だって、肝心要のことは教えてないもん。

それが大切ですよね、知的財産の侵害のモラルが無い国には・・・。
でも、「若いうちに稼ぐだけ稼ぐ」というパワーというか、意気の高さは、日本の若者もちょっと見習いたいですね。
国が当てにならない方が、個人個人の独立心を育てるようで。(笑)
Posted by aki at 2005年12月08日 01:18
う〜ん・・・。私はこのお話の部分では中国人に近いのかな?
大学卒業後就職した企業には自分なりに忠誠心を持っていたつもりだったけど、会社が答えてくれないと忠誠心はなくなるもの。業種によるかも知れませんが、日本も忠誠心だけで食っていける時代じゃないと思います。実力主義に名を借りた使い捨て時代だと思ってます。企業が社員を裏切った大リストラ時代を見てきた若い世代なんかそもそも忠誠心の欠片もないでしょうね〜。
まあ思い切って開公司したわけですが横のつながりが大切にされる業界だったので技術を盗むとか盗まれるとかそういう感覚はちょっと理解できないですね。私を含めて宮勤め時代の周りが皆企業内での出世より開公司って感じでしたから。
トップを狙える学歴が無い人間は日本人でもこんな感じじゃないかなと思うんですけどね?
盗まれるのが嫌なら最初から中国に進出しなければいいじゃないかと常々思うのですが・・・。
例え技術を盗まれてもお釣りが繰るほど魅力的な国だという事でしょうか?
全体的な日中の経済事情を見るとそうは思え無いのですが・・・。
眠いから自分でも何を言いたいのか良くわかりませんがw
Posted by システム at 2005年12月08日 02:05
ここおもしれーーーー

日本はぬるすぎますね。
Posted by すね at 2005年12月08日 04:16
まあ当然だと思う、向こうで会社をやるんだったら完璧にブラックボックス化しないとどんどん技術流出するってやってましたね。
基本的に裏切り?が当然ですからね。
ああ、そういえば今話題の総研内河所長が中国でさんざん手抜きマンション建ててるらしいですよ。気をつけて。
Posted by ash at 2005年12月08日 08:28
う〜ん、中国人って結果的に、自分の首を自分で締めている気がする・・・。でも『日本でも・・・』という考えも実際に出てきたようですね。先日ウチに来た19歳の青年が、「今の会社で経験を積んで資格を取って、もっと有利な会社に行くつもりです」ってハッキリ言ってましたから。
バブルが弾けてリストラされて、さらにアメリカタイプの実力主義が導入されつつあって。実力があれば若くても評価される。でもその実力を何十年も維持しなければ、途端に失業してしまう。それじゃあ困るんで、若いうちにどんどん稼いで老後に備える・・・って、らんさんが紹介された『困った君』と同じ考え方ですね。
日本はいったい、どこへ行こうとしているんでしょうか??なんて考えてしまいました。長文、失礼いたしました。
Posted by 彦勘助 at 2005年12月08日 08:57
 燃え盛る炉に自分の腕を突っ込み、激痛と火傷の程度でもって、焼入れの温度を探り盗み出そうとした日本刀の刀匠の弟子(実は他国の間者)の話がありますが、らんさんの話を読ませていただくと、技術は盗む方に、技術的素養というか、その技術に対する敬意と理解の深さが必要なのだと
考えさせられますね。

 先の話の刀匠は、熱で腕がただれる前に携えた大刀でその弟子の腕を切り落とし、炉にくべたといいます。
 秘伝を護るに為には、非情な行為も辞さない覚悟の程が伺えます。

 誰の話だった忘れましたが(長船だったか)、中国人技術者に聞かせてみてはいかがでしょうか?彼らの「技術」に対する態度も変わってくるかも。もっとも彼らだと
「なぜ腕なんだ、首を切らない日本人は甘い」くらい言うかもしれませんが^^;。
Posted by ぽてとぱい at 2005年12月08日 09:31
手っ取り早く儲けるにはいいのかも知れないが、技術の蓄積や開発には向かないような。
今は「知的財産ってなにアル?食えるアルか?」状態だからまだいいが、将来締め付けがキツクなったら大変そうだなあ。
Posted by pk at 2005年12月08日 09:53
日本人に「教え魔」というナイーブな方々がいますよね。この道一筋の理科系技術系の中高年に多いです。
この純情人たちが中国人に何でも教えてしまうんだなぁ!!!
日本人が「らん」さんみたいに健全な常識と普通の警戒心があれば良いけど、いかんせん単細胞で善良な日本人の「教え魔」さんが多すぎますよね。
Posted by ぴぺまん at 2005年12月08日 16:12
日本人は性格悪い、陰険、弱者をいたぶるとネタにされそうなお話ですな。

でもね、考えて欲しい物ですよね。
何所の世界に自分の利にならない事をする人間がいるのかと。

会社にだって自分の持つノウハウなんか教えないのが普通だし、自分の身は自分で守らないと、ね。
Posted by G at 2005年12月08日 17:18
今晩は、いつも楽しく待ち遠しく拝見中。です。
私の知っている(只今日本に留学中)中国の方も同じことを言っていました。
私的には、起業。すごい。すごいなぁ。
と聞いてしまっていました。なんたってその人は、日本で起こすと、希望、夢を持っていると、はにかんでいました。ほほう。・・・

それが中国の方たちが皆?その様な考えを持っているとは思ってもいませんでした。
中国人は大変だぁ。
私は、両親が寂しいだろうにと心の中で思っていました。
Posted by かれん at 2005年12月08日 20:06
>かれんさん
私の同僚で中国人のパートの女性がいます。彼女は両親に前の連れ合いとの間に出来たお子さんを残し、新しい伴侶と日本で働いてお子さんも設けていますが、中国に残してきたご両親とお子さんは「完全に」
自分の稼ぎだけで衣食住面倒見てるそうです。中国で働いていては無理なことなんだそうです。
 こういう現実を見ると、その留学生さんの希望もわからんではないですな。
 いろんなやからが日本に流れてくる理由も。


Posted by ぽてとぱい at 2005年12月08日 20:50
一人前になったら、得た技術を使って近くで開業!?
確かに、技術を教える側としては、やり切れんですね。。。。
うむむむむ。
今ある技術は過去の人達の苦労とかの蓄積の産物で会社の財産です。
オイラは、そんな技術を教えています。
でも、ここの話を知っても、しっかり教えこまないと、気がすまないですね。
頑張って、こちらが教えるもの以上のモノを獲得してもらいたいものです。
。。。。。あと、辞めないでね。

Posted by 西暗刻 at 2005年12月08日 22:25
 先日、NHKでやってましたね。技術を教え込んだもっとも優秀な人が同僚の技術者を引き抜いて近くで開業、って話。開公司した後、順調に会社を拡大させていって、元いた日系企業を圧迫していましたが、一緒に会社をやめて一緒に開業した人達が新会社にそのまま残っているのは何故??、何で更に独立する人がいないの??という疑問には番組は答えてくれていませんでした。
 日系会社は簡単に辞めて、中国人社長の会社では働き続けるのは、それなりの待遇(金銭と立場)を与えられているからなんでしょうか? 中国なりの動機付けや納得や自尊心を満足させるような方法をちゃんととっているからかもの知れません。
Posted by jun at 2005年12月09日 00:41
やっぱり中国人ですね。日本の会社組織だと給料が低いのは面子にかかわる。そのくせ自己主張ばかりで仕事しない。個人営業になると24時間くらいついてくるのに。韓国やタイでも似た傾向はありますが中国人ほどではないですね。中国人の大企業がなかなか成功しないのもこんなところかも。
Posted by NANASHI at 2005年12月09日 03:13
らんさん、はじめまして。
ここ半年ぐらい読ませてもらってます。
私はもともと嫌中・嫌韓だったんですけど、らんさんのブログを読んでいて、逆に
「そうか、中国人っておもしろいな!」
って思うようになりました。
なんでだろう???

もう反日デモや韓流の映像がテレビから流れるのが精神的にきつくて、テレビを3ヶ月ぐらいつけなかったぐらい重傷だったのに…。
Posted by at 2005年12月09日 21:16
みなさんのコメントを読むとこの件に関してはやはり自分は中国的なのかな?と考えさせられてしまいます・・・。
日本人って技術を教えてやったのに「裏切る」と言わないまでも何か「与えてやった」的感覚になってませんか?
中国人が働く事によって利益を得てるのはその企業の人々ですよね?そして中国人は技術と給料をもらう。ちゃんとギブアンドテイクが成り立ってると思うのですが。
そりゃ企業に在籍しながら盗めば批難されても仕方ないですが、独立した後なら習得した技術を使って商売をして何が悪いのでしょうか?ちゃんと働いて得た技術はその人のものであって会社のものじゃない。労働者は奴隷じゃないですからね。技術を教えたくらいで一生首輪をつけられちゃたまらない。
技術の流失が嫌なら最初から中国人を雇わないか若しくは引き止められるだけの給与とポストを用意するかどちらかしかないでしょ。
日本企業はかなり待遇が悪いんじゃないでしょうか?私自身、企業の待遇が気に入らないので飛び出したクチだからそんな気がします。
経験上、大手といわれる企業であっても日本人の私ですら構造的にも給与的にもかなり不満が大きかったです。
そこに民族の違いがプラスされる中国人ならなおさら飛び出したく感じるんじゃないでしょうかね?
Posted by システム at 2005年12月09日 23:20
ぽてとぱい 様
 文句で無いんですが、腕を炉に入れたんで無く、焼入れの水の温度だったと思いますが。
どうでもよいことですが、気になったので。ご意見はもっともです。
Posted by ポチ at 2005年12月10日 15:28
よーく考えると昔の日本人も
職人は親方から技術を受け継ぎいつかは一人立ちしたし、
商人は丁稚奉公しながらいつかは「のれん分け」、
もしくは自分の店を出したものなんですよね。
そう思うと中国人に忠誠心を求めるのも
日本のサラリーマン社会に毒されすぎてるのかな?
Posted by るる at 2005年12月13日 13:52
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